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掲載日:2024年9月4日
プレ(Pre)は「~の前の」、コンセプション(Conception)は「妊娠・受胎(=新しい命をさずかること)」という意味で、プレコンセプションケアは「妊娠前からの健康づくり」を意味します。
(1)リスクのある妊娠の増加
若い女性のやせと肥満の増加、出産年齢の高齢化などから、リスクの高い妊娠が増加しています。プレコンセプションケアを行って、妊娠前にリスクを減らしていくことが、健やかな妊娠・出産や生まれてくる赤ちゃんの健康につながります。
(2)不妊の増加
「生理不順を放置していた」「生理痛を我慢していた」などが将来の不妊の原因になることがあります。妊娠や出産に関する正しい知識を得て行動し、将来の不妊のリスクを減らしましょう。
(3)人生100年時代を生きるために
食事・運動・睡眠などの生活習慣の乱れによる影響で、男性は生殖機能の低下、女性は生理不順などを引き起こす恐れがあり、不妊につながるだけでなく、将来、生活習慣病を発症するリスクが高くなります。
すべての女性と夫・パートナーに向けて、健康面など妊娠前に確認して頂きたい内容をまとめたものです。もっとすてきな自分になるため、未来の家族のために、できることから初めて1個でも多くの実践できている項目を増やしていきましょう。
プレコンセプションケア・チェックシート(女性用)(PDF:826KB)
プレコンセプションケア・チェックシート(男性用)(PDF:824KB)
若い女性のやせ(BMI18.5未満)は、貧血や将来の骨粗しょう症の原因になります。一方、栄養過多や太り過ぎ(BMI25以上)は、将来、糖尿病や高血圧などさまざまな病気のリスクを高めます。やせも肥満も、不妊や妊娠・出産のリスクを高めます。男性の肥満も不妊のリスクを高める報告があり、注意が必要です。
適正体重とBMIを計算して、今の体重を評価してみましょう。
適正体重=身長(m)×身長(m)×22
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)例:体重50kg、身長155cmの場合…50÷1.55÷1.55=20.8
BMI:25以上 | 肥満 |
BMI:18.5~24.9 | ふつう |
BMI:18.5未満 | 低体重(やせ) |
基礎体温とは、生命維持に必要な最小限のエネルギーしか使っていない時の体温のことです。
女性の身体は、ホルモンの影響で周期的に基礎体温が変化します。正常な基礎体温からは次の月経予定日や妊娠しやすい時期、さらには妊娠の可能性も予測できます。
基礎体温の測り方
(1)朝、目覚めたら起き上がらずに横になった状態で測定します。 |
(2)基礎体温計専用の体温計で舌下(舌の根元の一番奥)にあてて口を閉じた状態で測定します。測定部の先端がずれないよう、体温計を指で支えたまま、口を閉じて鼻で呼吸を行いましょう。 |
(3)基礎体温表などに記録しましょう。 |
女性の基礎体温が正常のパターンからはずれているときは、ホルモンバランスの乱れや妊娠している可能性があります。基礎体温表をもって婦人科に相談してみましょう。
栄養不足による若い女性のやせは、貧血・肌荒れ・骨密度や筋力の低下などを引き起こします。月経不順や不妊、低出生体重児の原因になるなど、将来の妊娠・出産にも影響を与えます。
しっかり摂りたい栄養素◎
たんぱく質:卵・牛肉・鮭・大豆 | カルシウム:牛乳・小魚 |
葉酸※:ほうれん草・ブロッコリー・枝豆・納豆・いちご |
鉄分:あさり・レバー・牛肉 |
ビタミンB群:魚・豚肉 | ビタミンA:ほうれん草・うなぎ |
ビタミンD:きくらげ・干し椎茸・しらす・鮭 |
※葉酸:妊娠前から妊娠初期にかけて、葉酸をしっかり摂ることで、赤ちゃんの神経管閉鎖障害の予防につながります。妊娠を知るのは神経管ができる時期よりも遅いため、妊娠を希望する女性は、緑黄色野菜など葉酸を多く含まれている食品を積極的に摂取し、サプリメントも上手に活用しながらしっかり葉酸を摂取しましょう。
たばこは男女ともに不妊症のリスクが増加し、特に妊娠中の喫煙や受動喫煙は流産、早産、周産期死亡、低体重を引き起こす可能性があり、赤ちゃんが生まれた後も乳幼児突然死症候群のリスク因子となるなど、たばこの影響はきわめて広範囲です。
女性への影響:不妊、流産・早産、周産期死亡、常位胎盤早期剥離、閉経年齢の早期化、骨粗しょう症、しわ・たるみ・くすみ・黒ずみ、歯の黄ばみ・黒ずみなど
男性への影響:不妊、ED(勃起不全)など
赤ちゃんへの影響:乳幼児突然死症候群、低出生体重児、注意欠陥・多動性障害(ADHD)など
若い人の間で「性感染症」が増えています。自覚症状が出ないことが多く、知らない間に他の人に移す可能性があります。コンドームの使用ですべての性感染症を予防することはできませんが、セックスの際にはコンドームを使用して感染を防ぎましょう。
性感染症の中には、不妊の原因になったり、妊娠中にかかると赤ちゃんの健康に影響を与えるものがあります。カップルで一緒に性感染症のチェックをしましょう。保健所では、無料で性感染症の相談をすることができます。
妊娠中にかかると、赤ちゃんに影響を与える恐れのある感染症があります。風疹、麻疹、水痘(みずぼうそう)、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)はワクチンを打つことで予防できます。
ただし、妊娠中は接種できず、妊娠していなくても接種後2ヶ月は避妊が必要となります。母子手帳でワクチンの接種歴を確認し、必要であれば妊娠を考える前に接種しましょう。妊娠中、とくに妊娠20週までに風疹に感染すると、赤ちゃんが先天性風疹症候群を発症し、心臓の病気や白内障、難聴を患うリスクが高まります。女性だけでなくパートナーや家族もワクチンを接種して、妊婦さんに感染させない環境づくりが大切です。
女性は20代から子宮頸がんが増え、30代から乳がんが急増します。2年に1度の子宮頸がん検診とご自身で乳房のセルフチェックを行い、30歳からは乳がん検診を行いましょう。男女ともに、40歳からは肺がん、胃がん、大腸がんの検診を受けましょう。
出典・引用元:国立研究開発法人国立成育医療研究センター「プレコンセプションケアセンター」(外部サイトへリンク)
性や妊娠などの健康相談、女性の健康相談に関して、伊予市健康増進課のほか、中予保健所(電話:089-909-8757)や愛媛県心と体の健康センター(電話:089-911-3880)において相談を行っています。
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