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掲載日:2024年12月17日
固定資産税の課税対象となる償却資産とは、土地及び家屋以外の事業の用に供することができる有形固定資産で、その減価償却額又は減価償却費が法人税法又は所得税法の規定による所得の計算上損金又は必要な経費に算入されるものをいいます。
例えば、会社(法人)や個人で工場・商店などを経営している方や駐車場・マンション等を貸し付けている方が、事業のために用いる土地及び家屋以外の有形固定資産で、遊休・未稼働資産や従業員の福利厚生施設の備品なども課税の対象となります。
償却資産には、土地及び家屋と同じく固定資産税が課税され、地方税法第383条の規定により、償却資産の所有者の方は、毎年1月1日現在保有している資産状況をその所在市町村に申告していただくことになっています。
ただし、自動車税及び軽自動車税の対象となる自動車・自動二輪車・原動機付自転車等は除きます。
固定資産税の課税対象となる償却資産は、6種類に分類されます。
主な償却資産
構築物 |
屋上看板などの広告設備、ネオンサイン、鉄塔、岸壁、門塀、外灯、駐車場舗装(アスファルト・コンクリート舗装路面)、緑化設備など 簡易な建物、電気設備、給排水設備、衛生設備、消火設備、(店舗内装設備などの建物附属設備のうち固定資産税について家屋として取り扱われなかったもの)など |
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機械及び装置 |
各種機械(電気、化学、土木、建設、印刷、食品、医療用等)、冷暖房用の附属機械、運搬設備(コンベアー等)、クレーン、太陽光発電設備など |
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船舶 |
漁船、モーターボート、客船など |
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航空機 |
飛行機、ヘリコプター、グライダーなど |
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車両及び運搬具 |
フォークリフト等の大型特殊自動車(分類番号が「0」「00~09」「000~099」及び「9」「90~99」「900~999」の車両)、台車、自転車、その他の運搬車(自動車税、軽自動車税の課税対象となるものは該当しません) フォークリフトにあっては、次の条件を1つでも満たすものに限ります。(大型特殊車両に該当する車両)
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工具、器具及び備品 |
測定・検査工具、治具・取付工具、型、切削工具、その他の工具など 机、ロッカー、陳列ケース、レジスター、放送設備、応接セット、その他の業務用備品など パソコン、LAN設備、理容及び美容機具、医療機具、自動販売機など |
業種 |
主な資産の例示 |
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各業種共通のもの |
舗装路面、駐車場設備、門、塀、外灯、看板(広告塔、袖看板、案内板、ネオンサイン等)、受変電設備、中央管理制御装置、福利厚生用設備、パソコン、LAN設備、コピー機、エアコン、応接セット、ロッカー、キャビネット、簡易間仕切り、レジスター、金庫、内装・内部造作等、自動販売機、太陽光発電設備など |
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小売業 |
商品陳列ケース、陳列棚、冷蔵庫、冷凍庫など |
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飲食業 |
接客用家具、厨房設備、カラオケ設備、テレビ、放送設備、冷蔵庫・冷凍庫など |
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製造業 |
製造機械、金型、旋盤等、プレス機、溶接機、梱包機、洗浄給水設備、貯水設備、構内舗装、各種工具、フォークリフト(自動車税等の対象でないもの)など |
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医業・歯科医業 |
医療機器(レントゲン装置、CTスキャン、手術機器、歯科医療ユニット等)、入院用ベッドなど |
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ガソリンスタンド |
独立キャノピー、防火壁、地下タンク、構内装置、洗車機、ガソリン計量器など |
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建設業 |
大型特殊自動車(ブルドーザー、パワーショベル等)、フォークリフト(自動車税等の対象でないもの)、発電機、ミキサー、建築用機械など |
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理容・美容業 |
理容・美容椅子、洗面設備、消毒殺菌機器、看板など |
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娯楽業 |
パチンコ台、パチスロ台、ゲーム機、両替機、玉貸機など |
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農業 |
農機具、耕運機、脱穀機、精米機、乾燥機、ビニールハウス、ボイラーなど |
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漁業・水産業 |
漁船、船外機、漁船用等のレーダー(魚群探知機)、魚網、金網、冷蔵庫・冷凍庫、魚しめ機など |
固定資産評価基準に基づき、取得価額を基礎として、取得後の経過年数に応じた価格の減少(減価)を考慮して評価します。具体的には、資産の(1)取得価額、(2)取得時期、(3)耐用年数からなる「評価の3要素」を基本として申告していただいた資産の評価額を算出し、全資産の合計額を決定価格とします。
前年中に取得した資産(取得年の初年度については、一律に半年償却を行います。)
取得価額×(1-r/2)=評価額
前年前に取得した資産
前年度評価額×(1-r)=評価額
以後、毎年この方法により計算し、取得価額の5%まで減価します。
r:耐用年数に応ずる減価率(3.減価残存率表参照)
耐用 |
減価率 |
減価残存率 |
耐用 |
減価率 |
減価残存率 |
||
---|---|---|---|---|---|---|---|
前年中 |
前年前 |
前年中 |
前年前 |
||||
|
|
|
|
11 |
0.189 |
0.905 |
0.811 |
2 |
0.684 |
0.658 |
0.316 |
12 |
0.175 |
0.912 |
0.825 |
3 |
0.536 |
0.732 |
0.464 |
13 |
0.162 |
0.919 |
0.838 |
4 |
0.438 |
0.781 |
0.562 |
14 |
0.152 |
0.924 |
0.848 |
5 |
0.369 |
0.815 |
0.631 |
15 |
0.142 |
0.929 |
0.858 |
6 |
0.319 |
0.840 |
0.681 |
16 |
0.134 |
0.933 |
0.866 |
7 |
0.280 |
0.860 |
0.720 |
17 |
0.127 |
0.936 |
0.873 |
8 |
0.250 |
0.875 |
0.750 |
18 |
0.120 |
0.940 |
0.880 |
9 |
0.226 |
0.887 |
0.774 |
19 |
0.114 |
0.943 |
0.886 |
10 |
0.206 |
0.897 |
0.794 |
20 |
0.109 |
0.945 |
0.891 |
平成20年度税制改正において、機械及び装置を中心に対応年数の変更が行われました。改正後の耐用年数を用いて平成21年度より評価を行う必要がありますので、該当する資産を平成20年度以前から所有している場合は、その耐用年数を修正し、提出していただくようお願いいたします。
評価額を算出した結果、その価格が取得価額の5%相当額を下回る場合は、決定価格が取得価額の5%相当額となります。
(償却済資産についても事業用として現存する限り、5%相当額のまま計上されます。)
全資産の課税標準額の合計額が150万円未満の場合は課税されません。
通常は「評価額」が課税標準額となります。ただし、課税標準の特例が適用される場合は、課税標準額の特例適用後の額が課税標準額となります。
償却資産の価格等は、申告及び調査に基づいて決定され償却資産課税台帳に登録されます。
課税標準額に税率(1.4%)を掛けて年税額を算出します(百円未満切捨て)。ただし、課税標準額が150万円未満(免税点未満)の場合は課税されません。
課税標準額 × 税 率 = 税 額
(1,000 円未満切捨て) (1.4 / 100) (100 円未満切捨て)
償却資産に対する課税について、国税と比較すると次のとおりです。
項目 |
国税の取扱い |
固定資産税の取扱い |
|||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
償却計算の期間 |
事業年度 |
暦年(賦課期日制度) |
|||||
減価(償却)の方法 |
|
国税の「旧定率法」で使用する償却率と同じ率を、固定資産評価基準別表第15「耐用年数に応ずる減価率表」に規定 |
|||||
前年中の新規取得資産 |
月割償却 |
半年償却(2分の1) |
|||||
圧縮記帳の制度 |
制度有り |
制度無し |
|||||
特別償却、割増償却の制度(租税特別措置法) |
制度有り |
制度無し |
|||||
増加償却の制度 (所得税、法人税) |
制度有り |
制度有り |
|||||
評価額の最低限度 |
備忘価額(1円) |
取得価額の100分の5 |
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改良費 |
原則区分、一部合算も可 |
区分評価 |
税務署などの関係官公庁での帳簿確認調査及び、提出していただいた申告書の内容を確認するために実地調査を行うことがあります(地方税法第353条、第408条)。
実地調査では、減価償却資産明細書(固定資産台帳)の確認などを行います。その際に税務署への法人税又は所得税の申告書に添付された書類(減価償却費の計算書や減価償却資産内訳書等の写し)の提出をお願いすることになります。
なお、実地調査等において確認された申告漏れ等の資産に対する課税については、地方税法第17条の5第3項の規定により現年を含めて過去5年分まで遡及することがあります。
固定資産税の納税義務がある償却資産の所有者(第389条第1項〈道府県知事又は総務大臣の評価の権限〉の規定によって道府県知事若しくは総務大臣が評価すべき償却資産又は第742条〈大規模償却資産の指定等〉第1項若しくは第3項の規定によって道府県知事が指定した償却資産の所有者を除く。)は、総務省令の定めるところによって、毎年1月1日現在における当該償却資産について、その所在、種類、数量、取得時期、取得価格、耐用年数、見積金額その他償却資産課税台帳の登録及び当該償却資産の価格の決定に必要な事項を1月31日までに当該償却資産の所在地の市町村長に申告しなければならない。
市町村の徴収吏員、固定資産評価員又は固定資産評価補助員は、固定資産税の賦課徴収に関する調査のために必要がある場合においては、次に掲げる者に質問し、又は第1号若しくは第2号の者の事業に関する帳簿書類(その作成又は保存に代えて電磁的記録(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)の作成又は保存がされている場合における当該電磁的記録を含む。)その他の物件を検査することができる。
市町村長は、固定資産評価員又は固定資産評価補助員に当該市町村所在の固定資産の状況を毎年少なくとも1回実地に調査させなければならない。
道府県民税及び市町村民税の均等割(第26条第1項及び第312条第1項に規定する法人に対して課するものに限る。)若しくは法人税割に係る更正若しくは決定、道府県民税の利子割、法人の行う事業に対して課する事業税若しくは特別土地保有税に係る更正、決定若しくは加算金の決定又は不動産取得税、固定資産税若しくは都市計画税に係る賦課決定は、前2項の規定にかかわらず、法廷納期限の翌日から起算して5年を経過した日以後においては、することができない。
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